業務中に怪我や病気になった場合、労災に認定されて様々な補償が受けられます。
ただ、受けられる保証は労災の規模により様々なので、事前に知識をつけておきたいところです。
労災保険を正しく学ぶ
知識がなければ、受取れる補償をごまかされてしまうおそれもありますからね。
災害にあってさらに損までしないためにも、正しい情報を得ておくことは非常に重要です。
そこでここでは、労災で受けることができる基本的な補償の種類を紹介していきます。
もしもの時に備えて、ぜひ参考にしてみてください。
療養補償給付
労働災害で受けた病気や怪我は、療養補償給付により無料で治すことができます。
療養補償給付では、病院での診察や薬、入院、手術、移送などが全て無料で支給されます。
現物支給となるので、無料で病院が利用できると思ってもらえれば分かりやすいと思います。
ただし、労災保険の指定する病院でなければ適用されません。
療養補償給付は、労災により受けた怪我や病気の症状が固定するまで続きます。
症状の固定とは、疾病が安定した状態であり完治ではないところに注意が必要です。
また、一旦症状が安定したものの再発したという場合は、再び療養補償給付も支給されます。
やむを得ない事情があり、労災保険が指定する病院以外を利用する場合は、診察費用を返還してもらうことができます。
ただしこちらの場合は、一旦診察費用を自己負担しなければなりません。
また、指定する病院を利用しない正当な理由が必要となるので、利用する場合は注意してください。
休業補償
労災で被った怪我や病気の程度によっては、長期間休業する必要もあるでしょう。
ただ、休んでいては給料が支給されないため、生活することが困難になります。
そこで活用できるのが、休業補償です。
休業補償により、労災による疾病で休んでいる期間の収入を補償してもらうことができます。
労災保険の休業補償は、休業給付が給付基礎日額の60%。休業特別支給金が、給付基礎日額の20%と決められています。
つまり、大体給料の80%が支給されるということですね。
給料の日額の80%に相当する金額が、休んだ日数分だけ支給されます。月額ではないので注意してください。
障害補償給付
怪我や病気がひどい場合だと、傷病が治癒した後に障害が残ることもあります。
障害が残ってしまっては、日常生活や仕事に支障をきたすことも考えられます。
そこで、労災により障害が残った場合は、障害補償給付を受けることができるようになっています。
補償内容は、障害の等級により異なります。
第1級から第7級の重い障害に対しては障害補償年金、第8級から第14級の比較的軽い障害には、障害補償一時金が支給されます。
障害補償年金は、年金という名前から分かるように障害がある期間ずっと支給されます。
一方、障害補償一時金は、一度支給されるだけのものとなります。
遺族補償給付
非常に重大な労働災害により労働者が亡くなってしまった場合は、遺族に対して遺族補償給付が行われます。
遺族補償給付には、「遺族補償年金」と「遺族補償一時金」の2種類がありますが、原則としては遺族補償年金を受取ると思って問題ありません。
遺族補償年金は、亡くなった方の収入で生活していた人が受け取ることができます。
ただし、妻以外の場合は、一定以上の高齢または年少、障害のある状態であることが必要です。
これは、自分で働けば生活を維持することができるからですね。
働いて生活が維持できる人が受取人の場合は、「遺族補償一時金」が支給されることになります。
遺族補償給付は、遺族全てに支払われるものではありません。
受給資格者の中で、最も優先順位の高い人に支給されることになります。
遺族補償が支給される優先順位は、以下の通りです。
1.妻、60歳以上の夫、障害のある夫
2.18歳未満の子供、障害のある子供
3.60歳以上の父母、障害のある父母
4.18歳未満の孫、障害のある孫
5.60歳以上の祖父、障害のある祖父
6.18歳未満の兄弟、60歳以上の兄弟、障害のある兄弟
7.55歳以上60最未満の夫
8.55歳以上60最未満の父母
9.55歳以上60最未満の祖父母
10.55歳以上60最未満の兄弟
最も優先順位が高い人は労働者の妻です。
被災した労働者が女性の場合は、60歳以上であるか障害がなければ夫の優先順位は低くなります。
介護補償給付
労働災害により、要介護者となってしまった場合は、介護補償給付が受けられます。
介護補償給付は、常に介護が必要であるか否かで給付内容が異なります。
常時介護が必要な状態になった場合は、104,730円を上限に支出した介護費用が補填されます。
介護費用を支出していない場合は、56,790円が一律支給されます。
一方、常時介護が必要で無い場合は、補填される介護費用の上限が52,370円に引きさげられます。
介護費用を支出していない場合においても、一律支給額が28,400円に引き下げされます。
労働災害は未然に防ぐ
業務中に起こる災害に備え、労災保険はかなり充実しています。
だからといって、災害を起こしていいというわけではないですね。
労災の規模によっては、人の命を奪う可能性も十分考えられます。
災害は、起こさないことが一番大切です。
日頃から、職場の危険な箇所を改善するなどして、労災が発生しない環境を作っていってください。