地球温暖化の影響もあるのか、最近では突発的な集中豪雨が増えています。
急に空が暗くなったかと思うと、一気にとんでもない大雨が降るので、なかなか回避することも難しいです。
このような集中豪雨は、時々ひょうを伴うこともあります。
冬でもないのに大きな氷が降ってきて、遭遇すると結構ビックリします。
少しひょうが降るくらいなら「珍しい」で済みますが、規模が大きくなると色々な被害を及ぼしてしまいます。
ここでは、ひょうによる被害について紹介していきましょう。
ひょうとあられの違いは?
ひょうと似たものにあられがありますね。
どちらも空から降ってくる氷の粒です。
実はこの二つは、大きさにより区別されています。
ひょうは、直径5ミリ以上にまで成長した氷の塊のことを指します。
一方あられは、直径5ミリ未満の氷の粒を指します。
あられは5ミリ未満の氷の粒なので、ほとんど被害をもたらしません。
「ちょっと硬い雪」程度の認識ですね。
一方ひょうは、5ミリ以上のもの全てを指すので、かなり大きなものまで含まれます。
これまで降ったもので最大のものは、直径30センチ弱と確認されていることからも、ひょうが時に大きな被害をもたらすことが分かります。
それほど大きくなるまで空中で成長できる理由は、ひょうが積乱雲で発生することに関係しています。
積乱雲の中では激しい上昇気流が発生しており、その中で水分が凍ることでひょうが発生します。
発生したひょうは重いので落下するのですが、強い上昇気流で積乱雲の上部に押し戻されます。
この過程で、他の氷と合わさったり、水滴が付着し成長したりするので、どんどん大きな氷に成長するのです。
そして、上昇気流が支えきらなくなると同時に、一気に地上に降ってきます。
なぜ夏にひょうが降るのか?
ひょうは氷の粒なので、冬に降るものと思っている方も多いと思います。
ですが、実はひょうが降りやすいのは、春や秋です。
特に、5月や10月はひょうが降りやすい時期となります。
これは、地表が暖かく上空が寒くなりやすいため、積乱雲が発達しやすいことが原因です。
冬は積乱雲ができづらいので、ひょうはほとんど降らないのです。
暑い夏にひょうが降るのも、急激に発達した積乱雲によるものです。
ただ、気温が高すぎるため、ゲリラ豪雨として地上に降ってくることが多くなりますね。
極端に積乱雲が発達した場合なら、ひょうとして地上に降ってくることもあります。
ひょうによる被害
ひょうは、ゴルフボール程度の大きさまで成長することもあります。
そんな大きさの氷の塊が、はるか上空から降ってくるのですから、地上に被害が出ないはずがありません。
ここからは、ひょうがもたらす被害について考えていきましょう。
建物や車への損害
直径5センチほどまで成長したひょうの落下速度は、時速100キロを超えます。
氷の塊が時速100キロを超えて降ってくるわけですから、ガラスに当たると一発で割れてしまうでしょう。
建物の窓ガラスはもちろん、車のフロントガラスを割る被害も考えられます。
車体もボコボコになるでしょうから、かなりの台数がダメになりかねないのです。
また、農作物にも被害をもたらします。
野菜に直接ひょうがぶつかれば、傷が入って商品にならないでしょう。
また、果物の木の葉を落としてしまい、生育に問題が出ることも考えられます。
人への直接被害
大きな氷の塊が、物凄いスピードで降ってくるので、人に当たると非常に危険です。
大量の氷の塊が一気に降ってくるので、避けようもありません。
身体に当たると、打撲は免れないでしょう。
頭に当たると意識を失う危険もあるので、頭だけは守るようにしたいところです。
それから、割れたガラスで怪我をする二次災害も考えられます。
ひょうが降り始めたら、窓ガラスには近づかないほうが安全ですね。
停電の被害
空から降る氷の塊は、電線を傷つけるおそれがあります。ひとたび電線が切れてしまうと、大規模な停電が起きることも考えられます。
ひょうの被害から逃れるには?
車や建物など、外にむきだしのものはひょうからの被害から逃れるのは困難です。
特に建物は、動かしようがないですからね。
車ならまだ、屋根つき車庫に避難すればなんとかなるでしょうが、近くに屋根つきの車庫があるとも限りません。
車で移動するのも、ひょうがぶつかる衝撃を強めるだけなので、諦めておとなしく停車した方がいいと思います。
ひょうが降り始めると、ぶつからないよう建物の中に素早く避難することが大切です。
カバンなどで頭を守りつつ、近くの建物に逃げ込んでください。
素早い避難を実現するためには、ひょうが降る前兆を知っておくことも大切です。
急にあたりが暗くなり、雷が鳴り出したなら警戒した方がいいでしょう。
雹はいつでも発生する可能性がある
発達した積乱雲が原因のひょうによる災害は、どこで起きても不思議ではありません。
しかも最近はゲリラ豪雨も増えているので、発生する頻度も上がっているでしょう。
一瞬で大量に降り始めるので、いち早い避難が何よりも重要です。
逃げ遅れないようにするためにも、怪しいと思ったら建物内で様子を見るようにしてください。