労働災害とは、労働者が就業中に被った負傷や疫病、死亡などのことを指します。
被害の程度は様々ですが、業務上で発生した被害なら労働災害に認定される可能性が高いです。
そして、労働災害と認定されれば、労災保険によって医療費や生活費を補償してもらうことができます。
そもそも労災とは?
ただ、どこまでの範囲が業務上の被害かと言われると、なかなか判断も難しいでしょう。
そこでここでは、どこまでの範囲が労働災害と認められるか見ていきたいと思います。
労働災害に認定されるケース
業務上の負傷であれば、ほとんどが労災として認定されます。
たとえば、工場の機材で怪我をしたときはもちろん、社内の階段で転んだ骨折なども労災として認められる可能性が高いです。
また、怪我だけでなく病気も労災として認められます。
工場で粉塵を吸い続けたことにより、肺の病気にかかった場合などは労災として認められるでしょう。
病気が労災として認められるポイントは、病気の原因が業務にあるかどうかです。
休日に病気が発症したとしても、その原因が労働環境などにあるとすれば労災と認められるのです。
さらに最近では、普通の病気に加え、精神的な障害も労災として認められるようになってきています。
セクハラやパワハラがあった場合、うつ病や精神疾患も労災として認められるのです。
労働災害は、業務中に発生した事故だけが認められるわけではありません。
通勤中に起きた事故に関しても、通勤災害として労働災害に認定されます。
車だけでなく、駅での転倒なども通勤災害として認められるケースが多いので、覚えておくといいと思います。
労働災害に認定されないケース
逆に、就業時間中であっても、労働災害と認められないケースもあります。
それは、負傷や病気の原因が、業務とは関係のないところにある場合です。
たとえば就業中に倒れたとしても、その病気の原因が生活習慣にあるなら労災には認められません。
と言うことは、休憩時間中にスポーツをして負傷した場合も労働災害には含まれませんね。
休憩中のスポーツは、業務とはなんら関わりがないですから。
ただし、休憩中にベンチを利用した際、壊れて負傷した場合は労災に認められます。
業務とは関係ありませんが、備品の管理不備による負傷は労災として認められ可能性が高いのです。
通勤災害においても、認められないケースは存在します。
それは、通勤や業務とは関係なくどこかに寄ったり、遠回りをしたりした場合です。
要は、寄り道をすると通勤にはならないということですね。
たとえば、帰りに居酒屋に立ち寄った場合は、居酒屋から家までは通勤とは認められないことになります。
ただし、日用品の購入や病院の受診など、日常生活に必要な行為なら寄り道も認められます。
ちょっとした買い物程度なら、帰り道にするのは不思議なことではないですからね。
しかし、スーパーなどの中であった被害に関しては、通勤災害の範囲外です。
あくまでも、移動中に合った被害が通勤災害として認められます。
労働災害に認められるとどうなる?
労災に認められると、被害の程度により様々な補償受けることができます。
まず最も分かりやすいのが、療養費の補償ですね。
労災で被った怪我や病気の診察費や薬代、入院費などは、全額労災保険で無料となります。
また、労災が原因で3日以上連続して仕事を休んだ場合は、休業中の賃金補償が受けられます。
金額は、基本給の8割となり、休んだ日数分だけ支給されます。
それから、労働者が労災により死亡した場合は、遺族に対して補償年金が支給されます。
後遺症が残った場合も一定額の年金が支給されるので、かなり手厚い補償が受けられると考えておいて大丈夫です。
労働災害を防ぐには?
補償が受けられるとは言え、怪我や病気はしたくないものです。
そこで、労災を防ぐための取り組みが必要になります。
労災を防ぐためには、まず危険な箇所をなくさなければなりません。
定期的に職場を巡回し、危険箇所を発見し改善するようにしてください。
それから、長時間労働も改善する必要があります。
長時間労働は、脳梗塞や心筋梗塞の発生率を高めるだけでなく、精神疾患を発症させるおそれもあります。
ストレスチェックも合わせて実施すると、メンタルに不調がある人を未然に見つけて対応することができるでしょう。
さらに、定期的な健康診断も重要になります。
特に、健康を害するおそれのある業務を行っている場合は、特別な診断も実施する必要があるでしょう。
身体の状態を定期的にチェックし、病気にならないよう業務を管理することも大切です。
労働災害を未然に防ぐために
労働災害には正確に対応しないと、労災隠しを疑われるおそれもあります。
そうなると、会社自体の信用も失墜してしまうでしょう。
そうならないようにするためには、分からないことは労働基準監督署に相談することも必要かもしれません。
労働者が健康で安全に働く環境を作り、労災を減らしていく必要があります。
働き方改革も推進されていますので、一度労働環境をチェックするようにしてください。