業務中に発生する労働災害は、従業員のみに危険を及ぼします。

大きな怪我や病気につながるおそれもありますし、最悪の場合命を落とすことになるかもしれません。

 

また、規模の大きな労働災害が起きると、会社の信用を落とすことにもなりかねません。

そのため、事前に災害が起こらないよう、最大限の対策を施す必要があります。

 

労働災害を知って、企業防災に役立てる

一言に労働災害といっても、会社で起こり得る事故には様々なものが考えられます。

業種によって作業も全く異なるでしょうから、気をつけるべきことも違うでしょう。

企業防災1

そこでここでは、業務中に発生する可能性のある労働災害をまとめてみました。

あなたの企業で起こる可能性のあるものをリストアップして、防災対策に活用してみてください。

 

墜落、転落

特に高所の作業で気をつけたいのが、墜落や転落です。

作業している高さによっては、死亡につながるおそれもある恐ろしい災害になります。

実際、平成29年に発生した労働災害において、死亡原因のトップが「墜落・転落」となっています。

墜落転落

転落する事故は、高所で滑ったり躓いたりすることで発生しています。

道具などが散乱している状態だと、躓く危険性が増すので、まずは4Sを徹底することが重要です。

それでも100%躓かないとは言い切れないので、安全帯の装着の徹底や安全ネットの設置など、備品の面でも転落対策を実施する必要があります。

 

転倒

どのような職場でも起こり得るのが転倒災害です。

階段で躓いて転んだり、床が滑って転んだりと、非常に多くの原因がどこにでも潜んでいます。

転倒

転倒を完全に防止するのは難しいですが、危険を減らすためにできることはあります。

通路や階段に物を置かない、床が濡れていたら掃除する、歩きスマホを禁止するなど、転倒防止のためにルールを作ることが大切です。

 

激突

業務中の激突は、人と人が衝突するケースと、置いてある物と衝突するケースがあります。

どこでも起きる可能性があり、勢いによっては大怪我をするおそれもあります。

衝突

人との激突を防ぐには、社内では走らないことを徹底するのが一番です。

全員がゆっくり歩いていれば、出会いがしらに衝突するおそれはほとんどなくなります。

 

物との衝突を防ぐには、通路からいらないものを撤去する必要があります。

避難経路の邪魔にならないという面からも、通路に物は置かないようにしてください。

 

飛来、落下

「飛来・落下災害」では、高所から落ちてきたものに当たる被害や、鉄くずなどが目に入る被害が多く発生しています。

自分だけでなく、周囲にいる人に被害が及ぶおそれもあるので、作業場全体への対策が必要となります。

落下

落下を防止するには、危険な高所に物を置かないのが一番です。

どうしても置かなければならないものには、ひもで固定するなど転落防止策を実施するといいでしょう。

 

ゴミなどの飛来に関しては、目を保護することが最優先となります。

作業者だけでなく周囲に近づく人にも、保護メガネの着用を徹底させてください。

 

崩壊、倒壊

「崩壊・倒壊災害」は、棚や看板など設置しているものが崩れ、その下敷きになる災害です。

特に重いものの下敷きになれば、命を落とす危険もあります。

崩壊

倒壊災害を防ぐには、棚などが倒れないよう対策する必要があります。

地震に備える意味も込めて、できれば棚は壁に固定してしまった方がいいでしょう。

また、壊れそうな棚などは、早めに交換する必要があります。

 

挟まれ、巻き込まれ

「挟まれ・巻き込まれ」とは、機械に身体の一部が挟まれたり巻き込まれたりする労働災害です。

特に、製造工場で多く発生しています。

巻き込まれ

機械に巻き込まれる部位としては、圧倒的に「手」が多いです。

これは、無意識に危険な場所に手を置いてしまうことが多いからでしょう。

そのため、「危険な箇所は囲ってしまう」「巻き込まれても大丈夫なだけの空間を作る」「手を検知すると自動停止する」といった、機械側への対策が有効となります。

 

切れ、こすれ

「切れ・こすれ災害」は、刃物で身体を切ったり、やすりなどで身体を擦ってしまったりする災害です。

特に刃物は使う場面が多いので、どのような職場でも発生するおそれがある災害と言えます。

キレこすれ

特に、包丁を使う飲食店では、指を切る災害が発生しやすいです。

なるべく災害を発生させないよう、周囲をきれいに片付けて調理に取り掛かる必要があります。

 

また、工場などで使う巨大な刃物は、指を切り落としてしまうおそれもあります。

万が一のときに備え、切れない手袋を着用して作業する必要もあるでしょう。

 

踏み抜き

高所の床や足場がもろくなっていると、踏み抜き災害が発生するおそれがあります。

不意に足場が壊れ、高所から落下するため、死亡につながりやすい恐ろしい災害です。

踏み抜き

特に屋根での作業では、どこが弱くなっているか分からないケースが多いです。

そのため、直接屋根に乗らないよう、足場を作って作業する必要があります。

また、高所の床がもろくなっている場合は、ただちに修繕するようにしてください。

 

漏れ

ガスや液体が漏れることにより、様々な労働災害を引き起こします。とくに、ガス漏れは爆発につながるおそれもあり非常に危険です。

 

ガス漏れを防ぐには、安全弁がきちんと作動している必要があります。

もし劣化しているようなら、早急に取り替えるようにしてください。

ガス漏れ

また、万が一ガスが漏れたときのために、警報器を設置することも大切です。

警報器さえ反応してくれれば、ガス漏れしたとしても換気することで爆発を防ぐことができます。

ただし、換気扇など電気を使うものは、着火するおそれがあるので使用してはいけません。

 

高温、低温との接触

高温の水でやけどしたり、ドライアイスで凍傷になったりする災害です。

高温でやけどするケースがほとんどで、お湯や油を使う飲食店で発生するケースが多いです。

高音・低音接触

特に、お湯や油をこぼしてやけどをするケースが多いので、滑ったりしないよう作業する環境を整える必要があります。

加えて、脂がはねることも考えられるので、耐熱の手袋やエプロンなど、身体を守るものを身につける必要もあります。

 

有害物質との接触

業種によっては、人体に有害な物質を扱うことも考えられます。

誤って皮膚につくと炎症を起こしたり、誤飲すると命に関わるおそれがあるので、取り扱いには十分注意する必要があります。

有害物質との接触

有害物質から身を守るには、物質にあわせた保護具を着用する必要があります。

酸を使うなら酸に強い保護具を、アルカリを使うならアルカリに強い保護具を使わなければ、効果を発揮してくれません。

業務用の洗剤も、強力なので身体にとっては有害です。

洗剤だからと甘く見ないで、きちんと身体を保護して利用するようにしてください。

 

感電

電気工事の作業中は、感電の災害に合う危険性が高まります。

特に高い電流値を扱っている場合、心肺停止の状態になるおそれもある非常に危険な災害です。

感電

感電を防止するには、充電部を露出させないことが何より重要です。

安全覆いを取り付け、分電盤をきちんと施錠するようにします。

 

また、絶縁用の保護具を着用することも大切です。

万が一、通電部に触れてしまったとしても、絶縁保護具があれば身体に電流が流れることはありません。

 

爆発

ガス爆発や薬品の爆発、粉塵爆破など、様々なシーンで爆発する要因が考えられます。

特にガス爆発は、ほとんどの企業で発生する危険性のある災害と言えます。

爆発

ガス爆発を防ぐには、ガス漏れを発生させないことが重要です。

ガスの元栓をきちんと締めるなど、日頃からの対策が必要になるでしょう。

加えて、ガスが漏れてしまったときの対応も重要になります。

警報器を取り付けて、いち早くガス漏れを察知し、素早く換気できるようにしておいてください。

 

ただし、ガス漏れが発生した際は、ちょっとの電気でも着火するおそれがあります。

電気のオンオフはもちろん、換気扇も使わないよう注意してください。

 

破裂

ガスが発生する薬品を使っている場合、容器が破裂して中身が飛び散る危険もあります。

大抵の場合有毒な薬品のため、身体に付着すると悪影響を及ぼします。

破裂

容器の破裂を防ぐには、定期的なガス抜きが必要です。

ガスと同時に中身が吹き出すおそれもあるので、保護メガネや手袋はきちんと着用して作業してください。

また、有害なガスが発生している場合もあるので、ドラフト内で作業した方がより安全です。

 

火災

業務中に発生した火災も、労働災害として処理しなければなりません。

様々な理由で火災は発生するので、全ての企業で気をつける必要があるでしょう。

火災

火災が発生した場合、初期消火が非常に重要となります。

炎が天井に達するまでのわずかな時間で消火することができれば、火災が大きくなるのを防ぐことができます。

迅速な初期消火を実現するには、日頃からの訓練が大切になります。

ぜひ時間を取り、避難訓練を実施するようにしてください。

 

交通事故

車での移動が多い職種なら、交通事故を引き起こす可能性もあります。

自分が加害者でなくても、事故に巻き込まれることもありますね。

交通事故

それから、通勤中の事故も通勤災害として労働災害扱いになります。

交通事故は、最も身近な労働災害と言ってもいいかもしれません。

 

交通事故を防ぐには、安全運転を徹底する必要があります。

注意力散漫にならないよう、疲れが残らない勤務体勢をつくる必要があるでしょう。

加えて、ドライブレコーダーを取り付けておけば、事故が発生したときでも責任の所在が明らかになるのでオススメです。

 

無理な動作

無理な体勢を取ったことにより、身体を痛めた場合も労働災害になります。

ぎっくり腰特に、重いものを持ち上げようとして腰を痛めるケースが多いです。

 

無理な動作で身体を痛めないためには、無理な動作をしないのが一番の対処法です。

重い物を持つときは誰かに手伝ってもらうなど、可能な限り無理をしないようにしてください。

また、台車を利用するなど、補助する道具の活用も考えなくてはなりません。

 

粉塵によるじん肺

じん肺とは、粉塵を吸引することにより起こる肺の病気です。

工場や建設現場など、幅広い業種で発生するおそれがあります。

ひとたびじん肺になると、回復させる有効な治療法はありません。

そのため、じん肺を防止することがまずは大切です。

じん肺

じん肺を防止するには、粉塵を吸引させないことが重要です。

防じんマスクの着用はもちろん、粉塵が飛散しない職場作りも大切です。

 

加えて健康診断を定期的に実施し、じん肺の疑いがある人は粉塵作業がない業務に変更する必要もあるでしょう。

何の対策もしないままだと、じん肺が進行してしまうだけなのです。

 

石綿、アスベスト

アスベストは、建築物に耐火、断熱、防音の目的で使用されてきた建材です。

吸引による発がん性が指摘され、現在では使われなくなりました。

しかし、昔の建築物にはたくさん使われているため、解体時にアスベストが飛散する危険性があります。

石綿

アスベストの被害を最小限に抑えるには、解体時にアスベストが飛散しない工夫が必要です。

アスベストが外に漏れないよう、建物を防護壁で囲う必要があるでしょう。

また、作業にあたる場合は保護具を万全に着用し、アスベストを吸い込まないための対策を徹底する必要があります。

 

熱中症

夏場に高温になる屋外や工場内での業務では、熱中症になることも考えられます。

特に最近の夏は猛暑になることが多いので、最大限の配慮が必要になります。

熱中症

熱中症を予防するには、こまめな水分・塩分補給と、適切な室温管理が大切です。

工場など気温管理が難しいなら、スポットクーラーで人だけでも冷やすよう工夫してください。

 

また、無理のない作業も熱中症対策には必要です。

こまめに休憩を取り、安全に作業ができる環境を整えることも重要なことになります。

 

労働災害はいつ発生するかわからない

このように、労働災害では様々な災害が発生するおそれがあります。

デスクワークだとしても、災害が発生する可能性はゼロではないので油断しないようにしてください。

もちろん、工場や建築現場など危険な業務なら、より警戒する必要があるでしょう。

一つ一つ対策を怠らないようにして、労働災害ゼロを目指してください。